AIツール活用・比較 GitHub Copilot CLIでゲームを作ると、個人開発はどう変わる?

GitHub Copilot CLIでゲームを作ると、個人開発はどう変わる?

2026.05.18 · AIツール活用・比較 · AIニュース解説 · スモール起業・個人開発 · 約16分

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少しだけ前置きさせてください。今回紹介する GitHub 公式ブログの記事は、見出しだけ追うと「AI でゲームを作ってみた」系のおもしろ実験談に見えます。ただ、よく読むと 個人開発者が自分のプロジェクトに引き戻して考えるとき、結構ヒントになる作り方になっていました。詳細は GitHub Blog「Dungeons & Desktops: Building a procedurally generated roguelike with GitHub Copilot CLI」 をそのまま読むのが一番早いので、本文と合わせて一度目を通してみてください。

今回のAIニュース概要

2026 年 5 月、GitHub の公式ブログで、GitHub の社員 (Hubber) が GitHub Copilot CLI を使って、任意のコードベースを「ローグライク (roguelike) ダンジョン」に変換する VS Code 拡張を作った話が公開されました。事実ベースで起きたことを並べると、だいたい次のようになります。

  • 制作物の名前は Dungeons & Desktops。VS Code 上で動く拡張機能で、開いているコードベースを読み取り、その構造から自動でダンジョン (ローグライク風の探索マップ) を生成する
  • 制作の「相棒」として使われたのが GitHub Copilot CLI。ターミナル上で Copilot と対話しながら、コード生成・修正・ファイル操作までを段階的に進めていく形
  • 記事の中では、最初のプロトタイプから動くゲームに育てるまでの過程で、Copilot CLI に何を頼み、自分で何を判断したかのプロセスが具体的に書かれている
  • テーマはあくまで「楽しい個人プロジェクト」であって、ゲーム単体での収益化やビジネス展開を狙ったものではない

ここで一つ、最初に整理しておきたいことがあります。これは GitHub 公式から出ている 「Copilot CLI を使った個人プロジェクトの紹介記事」であって、「Copilot CLI を使えばゲーム開発者になれます」「副業で稼げます」という話ではありません。記事自体も、収益化や副業化の文脈には踏み込んでいません。そこは取り違えないようにしたいところです。

何が変わるのか

非エンジニアに近い読者の方にも届くように、まずは 「Copilot CLI が何をする道具なのか」から短くまとめておきます。

  • Copilot CLI は、ターミナル (黒い画面) の上で Copilot と対話するためのツール
  • ユーザーが日本語や英語で「こういう機能を追加したい」「ここを直してほしい」と書くと、Copilot が 該当ファイルを探し、編集案を提示し、必要なら新しいファイルを作る
  • 従来の Copilot (エディタ補完) との違いは、「ファイル単位の編集をプロジェクト全体の操作に広げた」こと。エディタを開いたまま手で書き写すのではなく、CLI 経由でまとめて任せられる

この前提で今回の Hubber の事例を読み直すと、いちばん大事な変化はこう整理できます。個人開発の試行錯誤で「言語化」のウェイトが上がる、ということです。

もう一つ、今回の事例から読み取れる小さい変化があります。それは 「既存のコードベースを、別ジャンルの体験に写像する」という発想のしやすさです。Hubber がやったのは、コードベースを「ダンジョン」というメタファーに置き換えて遊ぶこと。これは、自分の中にすでにある資産 (コード、Markdown、データ) を別の見せ方に変換するアイデアの、わかりやすい一例だと思います。

副業にするなら

ここから先は、私の視点で「副業に活かすなら」を整理します。最初に書いておくと、このニュースを「AI でゲームを作って稼ぐ」方向に直結させないのが、私のおすすめする現実線です。理由はシンプルで、ゲームを 1 本リリースして個人で収益化するのは、ジャンル全体で見ると相当に高難度だからです。

そのうえで、私だったらこういう副業の入口を考えます。

  • 制作過程そのものを記事化する。Copilot CLI に何を頼み、どういう順序で進め、どこで詰まったのかを、note や zenn の連載にまとめる。完成品より 「途中の判断」のほうが、同じことを試したい個人開発者には価値が高い
  • セッションログをそのまま素材にする。CLI 上の会話 (どう書いたら何が返ってきたか) は、編集して匿名化すれば、それ自体が学習教材になる
  • テンプレ化して配布する。自分が便利だと思ったプロンプトと CLI 引数のセットを README 付きで GitHub に置く、または Gumroad などで少額有料配布する
編集ダイアグラム風イラスト。左に Copilot CLI セッションログを表すターミナルウィンドウ (LOG)、中央に漏斗、右に女性個人開発者がノートPC で記事下書きを書き、横にダウンロード可能なテンプレートパッケージのアイコン (SHARE) が浮かぶ 3 ゾーン構図。

このとき注意したいのが、「私はゲーム制作の専門家ではありません」と最初に明示することです。Copilot CLI を試したログを共有する個人開発者として書く分には問題ありませんが、自分の肩書きを盛ると後で必ず無理が出ます。書ける範囲を、書ける肩書きで書く、というのは長く続ける副業の基本だと思います。

起業・個人開発にするなら

もう少し腰を据えた個人開発の話に進みます。Hubber がやったことを乱暴に一文でまとめると、「既存のコードベースを、別ジャンル (ローグライク) の体験に写像した」ということです。この「写像」という発想は、個人開発者にとってかなり再利用が効きます。

真似できる部分と、真似しにくい部分を、私の視点で分けてみます。

真似できる部分

  • 自分の手元の資産を、別の見せ方に変換する発想。たとえば自分のポートフォリオ Markdown を、ちょっとした「図鑑ジェネレータ」「カードゲーム風プレビュー」に変換する、など。素材は自分の中にもうある
  • Copilot CLI に対する小さな指示を積み重ねるスタイル。「まずこの 1 ファイルを作って」「次にここを直して」と段階で頼んでいく流れは、ジャンル問わず真似できる
  • 自分用ツールから始めるという入口。Hubber も自分の楽しみとして始めている。最初から外に売れる前提で組まないほうが、続く

真似しにくい部分

  • GitHub 社員としての文脈。Copilot CLI の挙動や VS Code 拡張の規約を、内側から完全に把握しているという土台は、外部の私たちにはありません。記事を読むときは 「同じことを社外の個人がそのまま再現できる前提で書かれているわけではない」と置いておくのが安全です
  • ローグライクというジャンル選定。一見「コードベース → 探索マップ」と相性がよく見えますが、ゲームジャンルとしてのバランス調整は本来かなり重い領域。ゲーム性をきちんと作り込むには別のスキルが必要です
  • VS Code 拡張としての公開。Marketplace 公開には独自の審査と継続メンテが要ります。個人で同じ規模の公開を続けるのは負荷が大きいので、最初は ローカルで動くスクリプトに留めるのが現実的です

スモール起業の角度で見ると、今回のニュースから直接 SaaS が生えてくるわけではありません。ただ、「既存のドキュメント・コード資産を、別の見せ方に変換するジェネレータ系プロダクト」という方向性は、社内向け / 教育向けの受託にじわじわつながる余地があります。私の興味としては、まず個人テンプレを公開して反応を見てから、受託や小さな SaaS に展開する順番が現実的だと思っています。

収益化するなら

収益化を急がない、というのが今回の記事を読んで強くしたい姿勢です。順番だけ書いておくと、私はこんなふうに段階を分けて考えています。

  1. 短期: 制作過程の発信。note / zenn / 個人ブログで、CLI セッションの記録を連載する。ここは記事収益というより、ポートフォリオと信頼の積み上げ
  2. 中期: テンプレ・スターターキットの少額配布。プロンプトと CLI 引数、初期コードをまとめて、無料 + 少額有料の二段で配る。Gumroad、Booth、Stripe Payment Links など
  3. 長期: 受託や小さな SaaS / GitHub Sponsors。発信とテンプレで反応のあった領域だけ、依頼ベースで深掘りする。最初から SaaS を組み立てない

もう一つ、アフィリエイトを混ぜたくなる場面があるかもしれませんが、私は 記事のテーマと無関係な物販を差し込まないを徹底しています。Copilot CLI を語る記事の中に、不自然なガジェットや投資商材のリンクを置くのは違うと思います。アフィリエイトは読者の次の行動を補助する導線として置くもので、書く動機にしてしまうと記事の軸が壊れます。

必要スキルと初期費用

Copilot CLI でこの方向の遊びを始めるのに、特別なスキルはほぼ要りません。私が最低限揃えているのはこれくらいです。

  • GitHub Copilot のサブスクリプション。Copilot CLI は Copilot 契約に紐づく機能なので、まずここが入口になる。個人プランで月額の小さな出費
  • ターミナルに慣れていること。コマンドを 1 行ずつ実行する操作感に抵抗がなければ十分。完全に初心者の方は、まず一般的なターミナル入門資料で cdls の感覚を 1 時間だけ触っておくのがおすすめです
  • Git と GitHub の private repo。試したコードと CLI のやり取りログを、まずは private で残しておく。後から公開する判断は自分のペースで
  • Markdown が読める / 書ける。記事化の段階で README や note 原稿をスムーズに書くのに役立つ

初期費用感をざっくり並べると、Copilot サブスクリプションの月額 + 自分の作業時間、というのが現実的な相場です。VS Code 自体は無料で、追加の有料エディタや課金 SaaS は必須ではありません。「最新の有料ツールを揃えないと出遅れる」式の不安マーケティングには、距離を取って大丈夫だと私は思います。

ちなみに、Copilot CLI 単体で何ができるかを知りたい段階であれば、自分の小さな個人プロジェクトのリファクタリングや、ToDo リストの整理スクリプトの自動生成あたりから始めるのが、私としては安心です。いきなりゲームジャンルに手を出すと、ゲーム特有の難しさで AI 部分の評価がぶれます。

注意点・リスク

このタイプの「楽しい AI ツール記事」を扱うときに、私が必ずチェックしているリスク観点をまとめておきます。実際に手を動かす方は、ここを薄く読み流さないでください。

  • GitHub Copilot 利用規約 ― Copilot CLI は GitHub および Copilot の利用規約と、各種ポリシーに従って使う必要があります。商用利用、社内コードへの適用範囲、ログの取り扱いなどは、所属組織や案件によって扱いが変わります。公開前に最新の利用規約と社内ポリシーを必ず確認してください
  • 生成コードのライセンス ― Copilot が出力するコードは、文脈によってライセンスの扱いが議論される領域です。公開リポジトリにそのまま載せる前に、自分が責任を持てる範囲か、ライセンス表記をどうするかを自分で判断してください
  • ゲーム素材 (画像 / 音 / フォント) の権利 ― ゲームを公開する場合、コードと別にスプライト・効果音・フォントなどの素材のライセンスが問題になります。AI 生成素材を混ぜる場合は、各サービスの利用規約と商用可否を 1 件ずつ確認してください
  • CLI からのファイル書き換え ― Copilot CLI はファイルの追加・変更を行います。本番リポジトリや業務プロジェクトに直接当てるのは避け、専用のサンドボックスや実験ブランチで動かしてください。私は git worktree で実験用のディレクトリを分けて運用しています
  • 誇張表現の禁止 ― 「Copilot CLI さえあればゲームが作れる」「これで個人開発は完成」のような断定は、書き手としても提案者としても使わない。記事を書く側の信頼を守るためのルールです

私の見解

今回の事例を、私の中ではこういうふうに位置づけています。

編集ダイアグラム風イラスト。左に女性個人開発者とその手元資産 (Markdown / コード / 写真) を表すアイコン群 (Your Assets)、中央に六角形の写像ノード、右に開いた本・カードゲーム・小さなダンジョンマップなど別ジャンルの体験 (Other Experiences) を表すアイコン群を結ぶ 3 ゾーン構図。

第一に、これは 「個人開発の主役の言語が、コードから自然言語 + コードに移ろうとしている合図」として読めます。Hubber の制作プロセスを読んでいて感じたのは、「何を作りたいか」を言葉で詰める時間が、コード自体を書く時間と同じくらい大事になってきている、という空気感です。これは UI/UX デザイナーとして仕事をしている自分の感覚にも、わりと重なります。

第二に、これは 「ゲームが作れる」の話ではなく、「自分の資産を別ジャンルに写像する遊びが作りやすくなった」の話として読み替えるべきだと思います。コードベース → ダンジョンという変換そのものより、自分の手元にすでにある資産 (Markdown、コード、写真、データ) を別の体験に変換するという方向のアイデアが、これから個人開発の中で増えていきそうな予感があります。

第三に、忘れたくないのは 「お祭り感のあるニュースほど、地味な準備の差で結果が分かれる」という冷静さです。Copilot CLI を最初に触る段階で、利用規約を読み、サンドボックスを用意し、CLI のセッションログを残しておく ― この地味な準備をした人と、勢いだけで触った人とでは、3 か月後に書ける記事のクオリティが大きく変わるはずです。

そして最後に、これは個人的な感覚ですが、こういう「面白そう」と思える GitHub 公式の遊び事例を、自分の手元の小さな実験に翻訳できる人が、結果として遠くまで行きます。ローグライクをそのまま真似する必要はありません。あなたの手元にある Markdown や写真や設定ファイルを、別の体験に変換する小さなジェネレータを 1 個書いてみるところから始めてみませんか。

参考・引用元