【Hermes Agent入門 #3】Claude Code・Codex・Obsidian・GBrainとの違いと使い分け
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Part 1 で Hermes Agent の全体像を、Part 2 でインストールと初期設定を整理しました。Hermes Agent が何者かは分かった。動かし方も分かった。でも次に出てくる疑問は「Claude Code や Codex とどう違うの?」「Obsidian や GBrain とは何が違うの?」です。
今回はこの疑問に答えます。ただし「どれが最強か」を決める記事ではありません。5 つのツールはそれぞれ役割が違う。その役割を整理して、「自分は何をどこで使えばいいのか」を判断できる記事にします。
なぜ「違い」を整理する必要があるのか
AI ツールが増えすぎています。Hermes Agent、Claude Code、Codex、Cursor、Copilot、GBrain、Obsidian。名前を挙げるだけで手が止まる。
しかも厄介なのが、どれも「AI でコードが書ける」「AI で作業が進む」と言っている。表面だけ見ると、似たようなことをやっているように見える。でも実際に触ってみると、得意なことがまったく違う。Claude Code でブログのネタ調査をしようとしたら不向きだし、Obsidian に AI 向け記憶検索をさせようとしても機能がない。
だから整理する。「どれが一番いいか」ではなく、「何をどのツールに任せるか」。この記事のゴールはそこです。
まず全体像:5 つのツールは何が違うのか
最初に、5 つのツールの位置づけを一枚の表で見てください。
| ツール | ひとことで言うと | 得意なこと | 向いていないこと |
|---|---|---|---|
| Hermes Agent | 作業全体を進める AI エージェント | 調査、タスク実行、ツール連携、記憶、定期自動化、マルチプラットフォーム | 大規模コードベースの深い編集、IDE 統合 |
| Claude Code | コードに強い開発支援 AI | マルチファイル編集、テスト実行、Git/PR、コードベース理解、IDE 統合 | メール送信、スケジュール管理、マルチプラットフォームメッセージング |
| Codex | 非同期のクラウドコーディングエージェント | 非同期タスク並列実行、サンドボックス隔離、PR 生成、バッチ処理 | リアルタイム対話、ローカル環境依存の作業、非コード作業 |
| Obsidian | 人間が読み書きするローカルノート | 人間の監査・編集・振り返り、知識構造の可視化、長期保存 | AI 自動検索、AI による記憶整理、自動タスク実行 |
| GBrain | AI が検索・整理する記憶インフラ | AI 向けハイブリッド検索、dream cycle 自動整理、schema 分類進化 | 人間が日常的に読むノート、コード編集、タスク実行 |
この表で見ると分かりますが、5 つのツールは「同じカテゴリの競合」ではなく、レイヤーが違う。コード開発層、タスク実行層、人間ノート層、AI 記憶層。それぞれ別の層で仕事をしている。

Hermes Agent は「作業全体を進める AI エージェント」
Hermes Agent の立ち位置は「汎用の作業エージェント」。コードを書くこともできますが、それは 40 以上あるツールの 1 つにすぎない。
Hermes Agent が真に強いのは:
- 作業を自分で進める:調査 → まとめ → ファイル作成 → 次のステップ、を人間が介入しなくても回せる
- 定期実行:cron で毎朝ニュースを収集、毎週レポートを生成、のような自律動作
- マルチプラットフォーム:CLI だけでなく Telegram・Discord・Slack・Email 等 23 以上から指示できる
- 学習ループ:経験からスキルを自動生成し、7 日サイクルで評価・淘汰する
- 記憶:Core Memory + Session Search + 8 種類の外部メモリプロバイダ
Claude Code や Codex と比べたときの最大の違いは、コーディング以外の作業をカバーしていること。逆に言うと、大規模コードベースの深い編集や IDE 統合は Claude Code / Codex のほうが特化しています。
Claude Code と Codex は「コードに強い開発支援 AI」
Claude Code
Claude Code はターミナルで動くコーディング特化の AI ツール。公式ドキュメントによれば、コードベース全体を理解した上でマルチファイル編集、テスト実行、Git 操作、PR 作成までこなします。VS Code・JetBrains・Cursor との IDE 統合も深い。
Claude Code が特に強いのは:
- コードベースの深い理解:ファイルを手動で指定しなくても、自動で関連コードを探索する
- マルチファイル編集:アーキテクチャレベルのリファクタリングが得意
- テスト → 修正のループ:テストを走らせて失敗したら直す、を自動で繰り返せる
- チェックポイント:コードの状態を自動スナップショットして、いつでも巻き戻せる
- MCP 対応:Notion・Figma・データベースなど外部ツールとの連携
Codex
OpenAI Codex(2026 年版。2021 年の旧 Codex API とは別物)は、クラウドとローカルの 2 モードを持つコーディングエージェント。クラウドモードでは、タスクを投げると隔離されたサンドボックスコンテナで非同期に作業が進む。
Codex が特に強いのは:
- 非同期タスク:タスクを投げたら自分は別の作業ができる。結果を後で確認する「火をつけて離れる」スタイル
- 並列実行:複数タスクを同時にクラウドで走らせられる
- サンドボックス隔離:各タスクが独立コンテナで動くので、ローカル環境を汚さない
- PR 生成:クラウドでの作業結果をそのまま PR にできる
- オープンソース CLI:Rust 製のローカル CLI も公開されている
Claude Code / Codex と Hermes Agent の違い
ここを明確にしておきたい。Claude Code と Codex はコーディングの専門家。Hermes Agent は何でも屋のエージェント。
| 観点 | Hermes Agent | Claude Code / Codex |
|---|---|---|
| メール送信 | 対応 | 非対応 |
| Slack / Telegram 連携 | 23+ プラットフォーム | 限定的(Slack 一部対応等) |
| 定期タスク(cron) | 自然言語で設定可 | Claude Code: Routines(コード寄り)/ Codex: 非対応 |
| Web 検索・調査 | 5 バックエンド対応 | Claude Code: MCP 経由 / Codex: 内蔵(キャッシュ) |
| マルチファイルコード編集 | 基本対応 | コア機能、IDE 統合で深い |
| テスト実行・修正ループ | 対応 | コア機能、自動反復が得意 |
| コードベース全体理解 | 限定的 | コア機能 |
| 学習ループ(スキル自動生成) | 内蔵 | 手動 SKILL.md / AGENTS.md |
| Cross-session メモリ | Core Memory + Session Search | CLAUDE.md / AGENTS.md(手動) |
つまり、コードを書く作業だけなら Claude Code や Codex のほうが適している場面が多い。でも「調査して → まとめて → Slack に送って → 毎週繰り返す」のような作業全体の流れを任せたいなら、Hermes Agent のほうが向いている。
Obsidian は「人間が読み書きするノート」
Obsidian は AI ツールではありません。ローカルの markdown ファイルを管理するノートアプリ。CEO Steph Ango の掲げる 「File over App」の思想 — ファイルが残ればアプリは替えがきく — がそのまま設計に出ています。
Obsidian が担う役割:
- 人間が読んで判断する場所:AI が出した結果を「これ合ってる?」「これ要る?」とレビューする層
- 知識の構造を可視化する:
[[internal links]]と Graph View で、知識のつながりが見える - 50 年後も読める:素の markdown ファイル。AI サービスが終了しても、ノートは残る
Hermes Agent や GBrain との一番の違いは、Obsidian は AI が自動で検索・整理する機能を持っていないこと。そしてそれが強み。AI に自動整理されない場所があるからこそ、人間が「これは本当に正しいか」を確認できる。
GBrain は「AI が検索・整理する記憶インフラ」
GBrain は Obsidian と対照的な存在。どちらも markdown を使いますが、GBrain は AI が使いやすい形で記憶を管理するためのインフラです。
- capture:情報を取り込む
- search:pgvector + BM25 のハイブリッド検索で引き出す
- think:検索結果から引用付きで推論する
- dream cycle:夜間に事実を抽出・統合・再構築する(Brain vs Memory)
Obsidian が「人間が整理するノート」なら、GBrain は「AI が整理する記憶」。同じ markdown でも、使う主体が違う。
以前の記事でHermes Agent + GBrain + Obsidian の 3 層設計を整理しましたが、この 3 層は今回の 5 ツールの中でも核になる組み合わせです。Hermes Agent が作業し、GBrain が AI 記憶を管理し、Obsidian で人間がレビューする。
具体的な使い分けパターン
「で、結局どう使い分ければいいの?」を場面別に整理します。
コード中心の開発作業
メイン:Claude Code または Codex
補助:Hermes Agent(周辺調査・ドキュメント整理・進捗報告)
コードを書く・直す・テストする・PR を出す。この一連の流れは Claude Code / Codex が圧倒的に得意。Hermes Agent は「その前の調査」や「コード以外のタスク整理」で補助する位置。
長期プロジェクトの管理
メイン:Hermes Agent + Obsidian
必要に応じて:GBrain
3 か月以上続くプロジェクトでは、会話ログだけでは記憶が追いつかない。Hermes Agent で作業を進めつつ、重要な判断は Obsidian に人間が整理する。作業量が増えたら GBrain で AI 記憶を自動化。
AI の記憶を本格的に使いたい
メイン:Hermes Agent + GBrain
監査層:Obsidian
Hermes Agent が作業中に重要情報を GBrain に capture。GBrain が検索・整理。人間は Obsidian で定期的にレビュー。3 層設計記事で詳しく書いた構成です。
ブログ運営・リサーチ業務
メイン:Hermes Agent(調査・素材収集・定期タスク)
ナレッジ管理:Obsidian(人間が整理)
開発が入る場合:Claude Code / Codex
ブログのネタ調査、競合分析、SEO 分析を Hermes Agent に定期タスクで任せる。集めた情報を Obsidian で人間が選別・整理。サイトのコードを触るときだけ Claude Code。

副業・個人開発ではどう活かせるか
- AI ツール導入支援:「うちのチームはどのツールをどう使えばいいか」を整理して提案する仕事。5 ツールの使い分けを理解していること自体がスキルになる
- Obsidian テンプレート + AI 連携ガイド:Hermes Agent で集めた情報を Obsidian でどう整理するか。フォルダ構造・YAML frontmatter 設計・Graph View 活用のテンプレートセット
- 開発ワークフロー設計:Claude Code / Codex + Hermes Agent の組み合わせで「コード作業は Claude Code、周辺タスクは Hermes Agent」の運用設計
- 比較記事の発信:この 5 ツールの使い分けを日本語で体系的に書いている人はまだほとんどいない
注意
5 つのツール全部を使いこなすのは時間がかかります。まず自分が一番必要としている 1〜2 つから始めて、慣れてから広げてください。全部同時に導入すると、どれも中途半端になります。
よくある間違いと注意点
- 「Hermes Agent があれば Claude Code は要らない」は間違い:Hermes Agent はコードも書けるけど、コードベース全体を理解した深い編集は Claude Code / Codex のほうが得意。逆もまた然り
- 「Obsidian があれば GBrain は要らない」も間違い:Obsidian は人間が読むノート、GBrain は AI が検索する記憶。主体が違う
- 全部 1 つに入れようとする:AI に全部覚えさせる、全部の作業を 1 つのツールでやる。これが一番壊れやすい。作業ログと長期記憶と人間ノートが混ざって、何がどこにあるか分からなくなる
- AI の出力を無条件に信じる:Hermes Agent も Claude Code も Codex も GBrain も、間違える。だからこそ Obsidian のような「人間がレビューする場所」が必要
- 仕様変更のリスク:5 つとも活発に開発が進んでいるプロジェクト。今日の比較が 3 か月後には変わっている可能性がある。この記事も 2026 年 5 月時点の情報です
私の結論:「全部入りの AI」を探すのをやめた方がいい
5 つのツールを並べてみて、改めて感じたのは「全部できる AI は存在しない」ということ。
Claude Code はコードのプロだけど、毎朝ニュースを集めて Telegram に送る仕事には向かない。Hermes Agent は何でも屋だけど、大規模コードベースのリファクタリングでは Claude Code に負ける。Obsidian は素晴らしいノートアプリだけど、AI が夜中に記憶を整理してくれる機能はない。
だから、「全部入りの AI」を探すのをやめて、「何をどこに任せるか」を決めるほうが速い。
私自身の使い分けはこうなっています:
- 日常の調査・タスク実行 → Hermes Agent
- コードを書く作業 → Claude Code
- 判断や方針の記録 → Obsidian
- AI の長期記憶が必要になったら → GBrain を追加
初心者の方には、まず Hermes Agent 単体で「作業を任せる体験」をすることを勧めます。Part 1 と Part 2 でその入口は整えました。Hermes Agent が動く状態になったら、次は Claude Code を入れてコード作業を分担する。Obsidian で人間用のノートを始める。GBrain は「記憶が溢れてきたな」と感じてからで十分。
次回の Part 4 では、Hermes Agent の実際の活用例を扱います。「結局、日常のどんな場面で使うのか」を具体的に見ていく回です。
参考にしたもの
一次情報
- Hermes Agent GitHub リポジトリ(Nous Research / MIT License)
- Hermes Agent 公式ドキュメント
- Hermes Agent: Tools and Toolsets
- Hermes Agent: Persistent Memory
- Claude Code 公式ページ
- Claude Code: Best Practices
- OpenAI Codex: Cloud Documentation
- OpenAI Codex CLI(GitHub / オープンソース)
- OpenAI Codex: Pricing
- Obsidian 公式サイト
- Steph Ango: File over App(Obsidian CEO エッセイ)
- Obsidian: Graph view
- GBrain GitHub リポジトリ(Garry Tan / MIT License)
- GBrain: Brain vs Memory ガイド
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